右耳がなかった少年

誰かの救いになれれば光栄です

右耳がないだけ

初めまして。私は名前の通り、右耳を持たないまま生まれてきました。正確に言えば、大きさは親指くらいしかなく、穴もない肉塊が生えていました。このことに、親は自分を責めて,泣いていたそうです。子供が生まれることは本来めでたいことであるにも関わらずにです。

症名は小耳症(しょうじしょう)と呼ばれるものでした。耳としての機能、聴覚はほぼなく音のすべてはすべて左耳を通して私に届いていました。しかし、それは私の健康に被害を及ぼすことはなく元気に成長していきました。他人と大きな人生としてのハンデがなく、友達と楽しく遊べていることもあり、そのころは「右耳がないだけ」と幼少期は思っていました。

そんな私の心境に変化が訪れたのは小学四年生でした。自分の耳を他人に見られるのが嫌と思うようになり、毎日フードをかぶって学校生活を送るようになりました。そんな私に母はいち早く気づき私に声をかけてくれました。

「耳を見られるのが恥ずかしいの?」

これを機に、小学生の私に今後の人生に関わってくる選択を迫られていくのです。